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ライオンズと本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」のコラボレーションが実現するまでのおはなし

「ねぇ、この本読んだ?」

手渡された本の表紙には、埼玉西武ライオンズのユニフォームを着た女の子のイラストが。
”天下を取りにいく”というワードが、ライオンズのユニフォームのイラストとも相まってインパクトがありました。言うまでもなく、ライオンズオフィスでも話題の一冊でした。

その本こそ、のちに本屋大賞を受賞する「成瀬は天下を取りにいく」。

このたびライオンズでは、8月14日(水)の福岡ソフトバンクホークス戦のセレモニアルピッチに「成瀬は天下を取りにいく」の作家・宮島未奈さんをお迎えすることが決定しました!

世間で話題になった小説の主人公が僕のユニフォームを着用して登場していると知って、驚きました。それがキッカケで野球の試合に目をとめてくれたというお友だちの行動にも胸を打たれ、どんなキッカケでも野球に触れてくれたことがうれしいです。
ライオンズのユニフォームがご縁で実現するこのセレモニアルピッチで、宮島さんのナイスピッチングを楽しみにしています!

小説にユニフォームが登場する栗山巧選手のコメント

ライオンズとしても待ちに待った念願のコラボレーション!
今日はこのコラボレーションが実現するまでの裏側のおはなしです。


■2023年春・夏

ライオンズオフィスでも注目を集めていたこの本は、発売後瞬く間に全国的に話題になっていました。表紙にライオンズユニフォームが出てくるので、一見ライオンズの話なのかな?と思いましたが、2020年8月末をもって閉店した滋賀県大津市の西武大津店を舞台にした小説です。

西武大津店は裏表紙にも描かれています

当時、西武池袋本店が大きな転機を迎えることが世論を話題になっていた時期でもあったことから、地域の人にも愛される百貨店という「場所」の存在価値や存在意義について改めて考えさせられました。

俺とマサルはタクローが見えなくなるまで同じ方向を見つめていた。
「敬太のおかげでタクローに会えたよ、ありがとう」
マサルが俺のほうに向き合って言う。実際そうだろうと思ったけれど、ちょっとカッコつけてみたくなった。
「俺じゃなくて、西武のおかげだよ」

「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈・著/新潮社・刊)より

~滋賀県と西武グループ~

ここで西武グループと滋賀県の関係について。

ライオンズは、西武グループの一員として1978年から埼玉県所沢市を本拠地としていますが、西武グループの創業者である堤康次郎(つつみ・やすじろう)は滋賀県に生まれました。
農家の息子として生まれますが、幼いころに両親を相次いで亡くし、育ての親であった祖父が他界したあとに一念発起して上京。瞬く間にビジネスの才を発揮し、今日に至る西武グループの基礎を一代で築きあげました。

そのため、滋賀県は西武グループ発祥の地とされており、1989年に開業し、滋賀のランドマークとも言われる「びわ湖大津プリンスホテル」が開業した際には、二代目堤義明(つつみ・よしあき)会長(当時)が、「滋賀は西武発祥の地。地元の人に喜ばれるものを残したかった」と、滋賀への思いを語るほどでした。(京都新聞、2019年10月10日掲載)

現在も、滋賀の公共交通を担う近江鉄道のみならず、西武ホールディングスが中心になり、グループ全体で滋賀県の観光振興などの分野で、これまで以上に連携を強化しています。

西武グループ発祥の地である滋賀を舞台に、西武百貨店を愛し、そして地域の人々との繋がりを愛すこの小説は、西武グループにも縁が深い小説として、グループ各社でも話題になりました。

■2024年4月本屋大賞受賞

そして、2024年4月。
なんと「成瀬は天下を取りにいく」が2024年本屋大賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。

ライオンズオフィス内でも、自らごとのように喜び合い、ライオンズとしても、何かお祝いができればということで、作家宮島さんに、監督・選手のサイン入り色紙をお贈りしました。

■コラボレーションプロジェクト始動

「お祝いの形をもっと広げたい」
そして、話はここからどんどん進んでいきます!
コラボレーション企画を具体的に検討しようと、広報部員から出版社の担当編集者の方にダイレクトにご連絡し、ミーティングが遂に持たれることになったのです。

初回は、どんなことができるか想像いただけるよう、過去ライオンズで実施したイベント内容などをイベントチームがまとめた資料を持っていきました。

ミーティングの初期段階から、宮島さんにはぜひセレモニアルピッチ(※)に登板いただきたいというお話にはなっていましたが、その他になにかライオンズらしい特別な体験をファンの方にも味わってもらいたいと、来場者の方々に配布できるグッズを制作できないかと、オリジナル文庫本カバーの制作、ポストカード制作など、両者でさまざまなアイディアを出し合いました。

※セレモニアルピッチとは:演出が含まれる試合前イベントとして試合開始の15~20分前に行われるもの。一方で始球式は、試合開始直前に選手や審判が位置についた状態で行われる。

そのなかでも、ライオンズとしてどうしても実現したかったのは、表紙の成瀬のイラストをそのまま、コラボレーショングッズの中で使用させていただくことでした。

表紙に描かれる凛と佇んだ姿と真っすぐな瞳、多くの読者の心をひきつけた成瀬の姿。誰の目も気にしない、忖度しない、自分がやりたいことに突き進むその姿勢に、誰もが魅了されてしまったはずです。
日本中で多くの読者を魅了したこの成瀬の姿を、ライオンズとのコラボレーションでもお見せすることこそ、このコラボレーションを実現する中で重要であることを出版社の方にお伝えしました。

そして、出版社の方やイラストレーターの方にもその思いを汲んでいただき、今回表紙と同じイラストを使用した、オリジナルグッズの制作が決定しました!

今回来場された皆さまに配布するのは、パソコンやスマートフォンに貼っていただくことができるステッカーです。
成瀬のイラストの背景には、ライオンズの本拠地であるベルーナドームを重ねました。どんな文言を、どの位置に入れるべきかなども細かく議論を重ね、完成したのがこのデザイン。

通常このような来場者配布グッズは、ビジター外野席のお客さまは配布対象外となるのですが、この日に限り、来場されたすべてのお客さまに配布されます。
この日にしか配布されない超がつく限定グッズです。

■8月14日はぜひ球場へ!

ライオンズでは、お客さまの試合観戦体験をより良いものにすべく、さまざまなイベントを日々企画・実施しています。今年はファッションブランドNEWYORKERとのコラボレーション企画を実施したほか、今後夏にかけては多くのアーティストのみなさまに登場いただくなど、イベントが盛りだくさんなシーズン後半戦を迎えます。

また、ベルーナドームは約70店舗、1,000種類以上のグルメを取りそろえる、12球団最大級のグルメスタジアムです。
野球の試合はもちろん、グルメ、エンターテインメントも含めて「野球観戦っておもしろいじゃん!」と思っていただけたらうれしいです。

小説の作家さんがセレモニアルピッチを行うのはライオンズとしても初めてのイベント。ぜひこの機会に、ライオンズと成瀬の初のコラボレーションをお楽しみください!