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共に歩んで半世紀。ベルーナドーム名菓“ライオンズ焼き”を手掛ける新井園本店。先代社長の思いと、冷やしライオンズ焼き誕生秘話

「夏でもライオンズ焼きを楽しんでもらいたい」

ベルーナドーム1・3塁側に出店している新井園本店の先代社長・新井重雄さんの言葉です。

ライオンズと同じく所沢市に本社を構え、狭山茶の生産、加工販売などを生業としている新井園本店。
ファンの皆さまにも大人気のライオンズ焼きも、新井園本店で製造、販売しています。
西武ライオンズ球場開場当初から今に至るまで約半世紀にわたり、長く球場に出店していただいています。

明日から、暑い夏でもおいしく食べられる冷やしライオンズ焼きの販売が始まりますが、そこには先代社長・新井重雄さんの遺志が深く込められています。


1979年、西武ライオンズ球場開場と共に

西武ライオンズ球場が開場し、西武ライオンズとして新たなスタートを切った1979年。
同時に、新井園本店による球場販売も始まりました。

日本三大銘茶のひとつとして知られる狭山茶。
“色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす”と謳われるとおり、甘くて濃厚な味が特徴です。

1924年(大正13年)に創業した新井園本店ですが、ライオンズ球場の開業当初はお弁当を売るスペースの横で、カップに注いだ温かい狭山茶を販売していました。
当時から今の売り子のように、お茶の立ち売り販売もしていたそうです。

今でこそ当たり前のように飲まれますが、まだ世の中に冷たいお茶を飲むという習慣があまりなかった頃から、冷たいお茶の提供も始めます。
最初は100リットルくらいのお茶が入る寸胴でお茶を濃い目に入れ、氷で冷やして提供していました。

当時お茶は無料で飲めて当たり前というのが世の中の認識。
冷たい飲み物と言えば、コーラやジュース、ビールなどがほとんどで、「なぜお茶にお金を払うのか」などの言葉も受けながら、多い時には1日で1万杯ほど販売したこともあったそうです。

その後、さまざまな人の嗜好に合わせた狭山茶を提供したいという先代社長の重雄さんの思いもあり、ペットボトルでの狭山茶の提供のほか、狭山の抹茶を贅沢に使ったフロートなどの販売も徐々に始めていきました。

2010年、ライオンズ焼き誕生

2008年、ドーム内の新井園本店
まだライオンズ焼きの文字はありません

今のライオンズ焼きの歴史は意外と新しく、2010年に誕生しました。

実は今のライオンズ焼きは“2代目“。当初は別の店舗が製造・販売していましたが、その店舗が球場から退店することになり、一時ライオンズ焼きは無くなってしまったのです。

そんなとき、ぜひ復活させたいと手を挙げたのが重雄さん。
新井園本店は元々狭山茶の生産や販売を主な事業としていますが、たこ焼きやたい焼きなどの食べ物などにも手を広げ、製造や販売のノウハウがあったことから、ライオンズ焼きが新たに生まれ変わることになりました。

しっかりとした甘さを感じるあんこを、狭山茶を練りこんだ生地で包み、球団公式マスコットのレオの横顔をかたどった鋳型でひとつひとつ丁寧に焼き上げたオリジナルスイーツは、瞬く間に大人気商品に。

2011年のファンブックより
「復活!ライオンズ焼き」の文字も

その後、カスタードあんの販売や、対戦チームによって中身の餡が変わる「対戦カード別グルメ」として、きなこやチョコなど、さまざまな味のライオンズ焼きが生まれました。
昨年初めて開催した、ベルーナドームのNo.1グルメをファンの皆さまの投票で決める「KING OF 獅子まんま2023」では、見事総合グランプリに輝いたのは記憶に新しいですね。

現在に至っても、連日店舗には行列が絶えず、名実共にベルーナドームの名物として、ライオンズファンのみならず、ビジターファンの皆さまにも愛されています。

2024年、先代社長・重雄さんによる「冷やしライオンズ焼き」誕生秘話

1980年(昭和55年)に、3代目として新井園本店を引き継いだ重雄さん。
1979年の球場開業当初から約半世紀にわたって、ライオンズとベルーナドームを支えてくださり、そしてファンの皆さまにも、食の楽しみや狭山茶の魅力を伝え続けてくださいました。

新井園本店オフィシャルサイトより(右が新井重雄さん)

今年のシーズン開幕時にも元気なお姿で球場にお見えになっていましたが、6月に急逝されました。
心よりお悔やみを申し上げます。

ライオンズ焼きを復活させた重雄さん。
「夏でもライオンズ焼きを楽しんでもらいたい」
重雄さんが生前に従業員の方に話していたそうです。

この言葉をきっかけに、3年程前から検討を始めた冷やしライオンズ焼き
最初は、通常のライオンズ焼きを凍らせたものから始めました。

その後、生地の原料を見直したり、冷凍する方法がないかを模索したり、重雄さん自らがさまざまな業者に問合せて工場を見学しに行くなどして、何度も何度も試作を繰り返しました。

商品の完成が近づいてきた折に、突然の訃報。
重雄さんの遺志は、ご子息の真一郎さんのほか、従業員に引き継がれました。

リニューアルした冷やしライオンズ焼き

実はこの冷やしライオンズ焼きも“2代目”
昨年夏にも冷やしライオンズ焼きを販売しましたが、まったく別の味わいに変化しています。

昨年は通常販売しているライオンズ焼きを冷凍し、そのままの味わいをお楽しみいただけるものでしたが、今年の冷やしライオンズ焼きは重雄さんが試作を重ね、もち米粉をベースとした新しい生地に生まれ変わりました。
餡にはラムネ餡を使用し、もちもちとした食感に、爽快感たっぷりのさわやかな風味をお楽しみいただけます。

生地の色や中身の餡まで鮮やかな“ライオンズブルー”。
ライオンズと共に約半世紀、歩んでいただいた重雄さんのアイディアです。

多くのファンの皆さまに届けたい

「先代のライオンズへの想いは人一倍強く、ご来場されるファンの皆さまへ美味しい狭山茶とライオンズ焼きを提供したいという気持ちを引き継ぎ、新しい冷やしライオンズ焼きを完成させることが出来ました。数量限定ではありますが、多くの方々に召し上がっていただきたいと思っております」

3代目社長・重雄さんの後を継いだ、従業員の皆さんの思いです。
ぜひひとりでも多くの皆さまに、重雄さんの思いが込められた冷やしライオンズ焼きの味がお届けできればと願ってやみません。

現在、ライオンズ焼きはベルーナドーム3塁側の店舗にて販売しておりますが、明日から販売が始まる“冷やしライオンズ焼き”は1塁側の店舗でも販売いたします。

1・3塁側でそれぞれ各日100個ずつ、計200個を用意しております。
より多くの皆さまにお楽しみいただけるよう、おひとりさま1会計につき3つまでとさせていただいております。状況により変更となる場合がありますので、ご了承ください。

どうぞ、新しい冷やしライオンズ焼きをお楽しみください!


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