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「野球少年に戻ったかのようなキラキラした皆さんの目が忘れられない。」10年以上続いたサラリーマンナイトの始まり

「さあ行くぞー!」「オッケーイ!ナイスキャッチ!」
「もっと腰を落としてー!」「そうそうそう!」

今年7月5日(金)、ベルーナドームで行われた千葉ロッテマリーンズ戦終了後のグラウンドで、ライオンズOB石毛宏典さんと、球団職員でもある髙木大成がノックを受ける皆さまにかける声が響き渡りました。

この日は、2019シーズン以来5シーズンぶりに「サラリーマンナイト」という、当日来場していただいた社会人の皆さま限定で、ライオンズOBがノックを打つイベントが復活した日でした。 

「社会人の方が無邪気な笑顔でボールを追いかけ、楽しんでくれる姿っていいなと思いました」と話し、初回のサラリーマンナイトでノッカーとしてグラウンドに立った髙木と、この企画が生まれたきっかけや当時の話を発足に携わった社員数名に聞きました。


■始まりは社員同士の雑談

5位でシーズンを終了し、26年ぶりのBクラスに沈んだ2007シーズンのオフのこと。仕事を終え、会社に残っていた数名の雑談から始まったそうです。

雑談の翌日、その場にいなかった髙木が出社後に、上司から「試合終了後にお客さんにノック打てるか?」と聞かれ「はい!」と返事をしたのがサラリーマンナイトの始まりであるということ。

2008シーズンはライオンズが所沢に本拠地を移して30周年の年。他の球団がやっていない、野球観戦にプラスアルファで楽しんでいただけるようなイベントを考えていました。当時、休日には試合前などに親子キャッチボールなど、お子さまやご家族向けのイベントを実施していましたが、平日に来場される方の多くは大人の方が大半を占めるということで、そんな皆さまも楽しめる企画にしたいと考えました。

当社は首都圏に本拠地を置くチームの中では唯一、球場を自社で管理・運用していることから、自由度高く球場を使用できることが当時から強みでした。しかし、試合終了後のグラウンドに降りていただく現在のフィールドウォークのようなイベントは不定期で実施していたものの、それ以外の企画はほとんど実施していませんでした。

そしてもうひとつ大きなポイントが髙木の存在でした。ライオンズのOBでもある髙木がユニフォームを脱ぎ、サラリーマンとして西武グループで働き始めたのが2006シーズンから。髙木が当社にいるからこそできるイベント、それがサラリーマンナイトでした。

■「不安で仕方がなかった」第1回サラリーマンナイト

第1回サラリーマンナイトは2008年4月10日(木)に、本拠地移転30周年の記念イベントとして開催しました。当時は今ほどスタッフもおらず、お客さまの列整理からノッカーへのボール渡し、MCまで社員総出で準備。お客さまが残って参加してくれるのかが何よりも不安だったと、当時イベントに携わった社員は話します。

当時は現在ほどSNSもあまり使われておらず、球団オフィシャルサイトでのニュース、メルマガ、そして試合日の大型ビジョンLビジョンでの告知のみ。「とにかく不安だったから、実は第1回のときだけこっそり知り合いに声をかけて来てもらいました(笑)」と、前述の社員が思わぬ暴露も交えて当時のことを振り返ってくれました。

そんな不安は杞憂に終わり、当日は、多くのお客さまに参加いただき、無事に幕を閉じた第1回サラリーマンナイト。

記念すべき第1回サラリーマンナイト。中央が髙木

野球少年に戻ったかのような皆さんのキラキラした目が忘れられなくて。もっと楽しんでもらいたいと思いました」と話す社員は、1か月後の5月1日(木)に早くも第2回サラリーマンナイトを実施しました。「同じ内容でもよかったけど、グレードアップしたくて」と、髙木に加え初ゲストとしてOBの大塚光二さんにもご登場いただきました。

「企画当初はシリーズ化する予定はなかったんだけど、せっかくなら“木曜日はサラリーマンナイト”みたいな形で続けてみようってアイデアも出て、ドームで試合がある木曜日はサラリーマンナイトをやろう、と週の定番イベントになりました」

サラリーマンナイトの初年度は7回実施。お客さまが集まるか不安だった第1回を笑って振り返られるほどの好評企画として、2019シーズンまで続くイベントとなります。

内野ではノック体験、外野エリアではキャッチボールなどを自由にできるスペースとして開放していました

■毎試合何かしら楽しめる球場にしたい

翌2009シーズンからは、ノック体験にとどまらず、ブルペン投球体験、ゲッツー体験、タッチアップ体験、クッションボール処理体験、ベンチから飛び出し体験など、イベント内容も変えていきました。
 
「毎回内容が違ったら、飽きずに足を運んでもらえるかなって」と、担当社員。

ライオンズOBだけでなく、その日の対戦チームのOBもゲストに迎え、ビジターファンの皆さまにも楽しんでもらえる工夫を施したり、野球にゆかりのある芸能人の方や、社会人の方が子どもの頃によく見た特撮ヒーローを呼んでみたり、告知用のプロモーションビデオを作ってみたり…。

さらにサラリーマンナイトの派生企画として、女性限定でノック体験やティーバッティング体験ができるイベントの「やきゅ♡ウーマンナイト」はドームで試合のある火曜日に、バックスクリーン下のステージ広場付近でお酒が楽しめるイベント「お酒がナイト」は水曜日に実施するなど、新たな企画も生まれました。

「毎試合何かしらイベントがある状態を作りたくて。試合観戦はもちろん楽しんでいただきたい、そこにプラスアルファでもっと“楽しかった”と思っていただきたかった。SNSが今ほど発展していなかったからこそ、サラリーマンナイトに参加した次の日に、会社の同僚とかに『元プロ野球選手のノック受けたんだよ~』って話してくださって広まったのかな。参加してくださる人数も徐々に増えていった感覚があります」

企画と連動して「サラリーマン弁当」という、今ではなかなか見かけないお酒を飲んだ社会人の方が帰り道に片手持っているお土産を彷彿とさせるお弁当を“試合終了後”に販売したり、オリジナルTシャツを作ってみたり…。「とにかくいろんなアイデアを出し合ってやってみる。それでよかったら続けるし、あまりだったら次回のイベントへの反省にする。良くも悪くも、いろんな企画をたくさんやっていましたね(笑)」と笑って話してくれました。


当時販売していたサラリーマンナイトのオリジナルTシャツ
試合終了後に販売した「サラリーマン弁当(うなぎまぶし弁当)」

■通勤カバンにグローブをしのばせて

「第1回の2008年からは16年の月日が経ちました。当時からライオンズを応援し、参加してくださった方からするとすごく懐かしく感じると思うし、逆に最近ライオンズを知った方にとっては新鮮なイベントなのではと思います。私は初期から携わっていたので、今回復活してくれてうれしく思います」と担当社員。
 
7月5日(金)に復活したサラリーマンナイトが大変ご好評につき、9月18日(水)は石毛さんが、23日(月・祝)には片岡保幸さんと髙木がノッカーとして皆さんにノックを打つことが決まりました。参加したことがある方も、初めての方も、多くの社会人の皆さまのご参加をお待ちしております!グローブの貸し出しいたしませんので、ぜひ当日は通勤カバンにグローブを入れて出勤いただき、持っていない方は会社の同僚や友人に借りたりして、退勤後はそのままベルーナドームにお越しください!!