自宅の最寄り駅や出張先など、時間があれば書店を覗いて本を買うことがけっこうあります。飛行機や新幹線の中は主に読書の時間で、ビジネス書、小説、ノンフィクションなど、ジャンルは問いません。

そんな私と「成瀬は天下を取りに行く」の出会いは、いわゆる「ジャケ買い」ってやつです。ライオンズのユニフォームを着た女の子が表紙の本を見つけた瞬間、すぐに手に取ってレジに並んでいましたね。きっとライオンズを応援している女の子が登場するのだろうな、と思って読み進めましたが、実際は、地元のローカル番組の生放送で目立つため、という演出でした。それでも、主人公・成瀬あかりの意志の強さにすぐに魅了されました。やると決めたことはやり切るところ、ぜひ見習いたいものです。

のちの章ではお笑いショーレースにもエントリーする成瀬の行動はとてもスケールが大きく、読めば読むほど爽快感を得ることができました！成瀬がどんな大人になっていくのか、続編が楽しみな一冊でした。

普段小説は読まないのですが、このタイトルを目にして書店で思わず手に取ってしまったことは覚えています。歳を重ねるにつれて、行動にうつせるか、うつせないかで、人生は大きく変わると思うようになった私にとって、かろやかに何事にも行動していく成瀬の姿はすごくまぶしいものがありました。

それから数か月後。
母から「今すごく流行っている本があるらしいけど、知ってる？」と尋ねられました。今度貸すよ！と言ったまま、私の自宅の書棚から母の手に渡ることはなく、私はライオンズへ転職し、今は所沢の私のデスクに本が置いてあります。
書籍を手に取った時に、まさか作家の先生と仕事をする人生になっているなんて思ってもいなかったし、私が購入した本も、まさか所沢へ持ち運ばれるとは思ってなかったと思います。成瀬のように軽やかに、自分の選択を楽しめる人生でありますように。

SNS上でライオンズファンの皆さまが「成瀬は天下を取りにいく」が本屋大賞を受賞したことについて投稿されていたのを拝見したのが、この本を知ったきっかけです。表紙のライオンズのユニフォーム、西武百貨店、作者のお名前、出身である関西、、、私自身と共通点が非常に多かったことから、（あまり簡単に言葉にするものではないかもしれませんが）少しばかり「運命」を感じ、すぐに手に取りました。

時折出てくるライオンズ要素にうれしくなりつつ、成瀬のあまりの“まっすぐさ”にクスッと笑いながら読み進めました。

成瀬なりの「西武に捧げる」行動が西武大津店へお金を落とすことでも、周りを巻き込んで何か企画をすることでもなく、ライオンズのユニフォームを着て、夕方の情報番組に出続けることの意味が分かったときと、最後の最後に見せる成瀬の人間らしい、女子高生らしい一面を見つけたとき、「成瀬も人間なんだ。」と安心感を覚え、一気に彼女の虜になりました。