隅田知一郎 入団から3年間での経験と成長
11月9日(土)に開幕する「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」。日本は10日(日)から試合が始まりますが、ライオンズからは隅田知一郎投手、古賀悠斗選手、源田壮亮選手が野球日本代表「侍JAPAN」に選出されました。
なかでも隅田投手は、前回日本代表として出場したカーネクストアジアプロ野球チャンピオンシップ2023で日本野球のレベルの高さを感じたといい、日本代表チームがなぜ強いのか、その強さの秘訣をライオンズに還元したいとチームに言い残して、10月28日(月)から日本代表の合宿に向かいました。
「ライオンズも強いチームでありたい」と思う隅田投手のこれまでを振り返ります。
苦いデビューからの成長、隅田投手の挑戦と学び
1999年生まれの25才で長崎市出身。西日本工業大学を経て、2021年ドラフト1位でライオンズに入団。ルーキーイヤーの2022年に開幕ローテーション入りを果たすも1勝10敗という、ほろ苦デビューとなりました。
「勝つことってこんなに難しいんだと思いました」と当時を振り返りますが、すぐに結果が出るとは思っていなかった隅田投手は、いい経験ができているとポジティブに捉えていました。
「体も細く技術的にも未熟なのに、自分の持っているものを、出そうとし過ぎていた当時の自分に『根拠のない自信をもって投げたらどうですか?』と言いたいですね。今だから言えますけど。当時は、がむしゃらに投げていたので、もう少し、ドシッとしても良かったのかなと思います」。
意識の差が生む結果とコーチの支え
そして、その年のオフに寮生を対象に行われた講義で、今後の転機となる出会いがありました。
その講義は「体の使い方」に関するもので、受講後の隅田投手は、自分の体の使い方は間違っているのではないかと感じ、試行錯誤を重ねましたが、うまくいかなかったそうです。
ただ「今よりも良くなる、変わることができる」という自分の直感を信じ、外部講師のもとで自主トレーニングをする決断をします。
「他の選手と合同トレーニングでしたが、そこで言われた『すごく良い投手なのに、結果が出ないのは、意識の差』という言葉は今でも鮮明に覚えていて、自分に合った体の使い方ができれば、当然結果は良くなりますが、その知識を自分が持っているか、否か。それを意識して動けているかどうかの違いだと教えてもらいました。そうすれば、打者の見え方も違ってくると」。
その言葉を胸に自主トレを終え、春季キャンプ前に最終調整をしているとき「これを1年間続けたら、来年の今頃は全然違うんだろうな」と徐々に感覚を掴みだした隅田投手。
「感覚が良くなったのはもちろん、なぜ調子が良いのか、悪いのか、その理由がわかるようになりました」と手応えを口にしました。
オフの自主トレは一定期間、自分と向き合うことになります。
シーズンを通して感じた課題感からフォームなどの修正に取り組む選手も多いです。
外部のコーチやアドバイザーなどのもとで練習をすることもありますが、そうした外部のコーチなどは第三者の視点から変化のきっかけを与えてくれることも多いそうです。
一方で、キャンプからシーズンを通して長い期間を共に過ごす投手コーチは、「一緒に伴走してくれる感じ」と表現する隅田投手。
「投手コーチは自分では気づかない小さな気づきを教えてくれます。画像ではどうしてもわからない、リアルでみないとわからない部分のアドバイスをしてくれますし、メンタルケアが上手だなと思います。これくらい投げられたらすごいぞ!と発破をかけられるというか」。
「例えば、6回投げ切って、交代するかしないかというときに「次、もうひとり抑えてこい」とか「最後出し切ってこい」という後押しですね。そういうことをコーチから言ってもらえるのってうれしいですし、大事にしてもらっていると感じています」。
強くなる責任感
今シーズンは一言で言えば「長くて厳しいシーズンでした」と振り返る隅田投手。
負け試合が多いなかで、ファンの方の叱咤激励に対してどうにかしたい気持ちと、それが思うようにいかない、やるせない感情になることが多くあったといいます。
「連勝しても上位との差を目の当たりにして、モチベーションや気持ちのコントロールが難しい1年でした」と。。。
それでも「ファンは先生」と表現する隅田投手。
「良い投球ができたときはナイスピッチングと言ってくれるし、良くないときは、ここが良くないと教えてくれますよね。SNSで自分に該当するコメントとか、ひととおり見ますが、よく見てるなぁと感心することもあります。もちろんそうでないコメントもありますが、先生って生徒を応援する立場だと思うので、ファンの皆さんも、そういう気持ちでコメントをしてくれていると思っています」。
「そして野球選手からしたらファンの皆さんは宝物。仮に引退しても僕という選手を覚えてくれていると思うんです。でも僕たちはファンの皆さん一人ひとりとお話ができる機会はそこまで多くないので、余計にそうしたファンの皆さんの声というのは大事にしたいと思っています」。
一方で、自身は成長できたシーズンだったと手応えもあります。
「自分が投げる試合は勝ちにこだわりたい、負けるなら自分のせいで負けたい、という気持ちでマウンドに上がっていますし、逆に勝つときも、自分がしっかり抑えて勝ちたいと思っています」と、チームの柱としての責任感を口にします。
「責任感というのはずっと持っていましたが、これからチームの中心選手になるなら、大事なことだと思います。すごく意識しているわけではないですが、勝ち続けるために、チームを引っ張っていく存在になりたいですし、自分が活躍しないとチームは強くならないと思っています」。
広報担当としても、普段接しているなかで、表情などから上記の想いを感じ取れる点はありましたが、このインタビューを通じて、彼の本音を聞けて本当に心強くも感じました。
ファンの皆さまにも、隅田知一郎の熱い想いは伝わったでしょうか?
日本代表としてマウンドに立つ隅田知一郎をぜひ応援してください。