世界的ファッションデザイナー相澤陽介さんと一緒に制作した期間限定ユニフォーム制作の裏側|ライオンズフェスティバルズ2024
「獅子たちが、夏の月夜に敵を狩る」
プライドと呼ばれる群れで生活する唯一のネコ科動物、ライオン。
優れた夜間視力を持ち、獲物を狩り、暗闇の世界に君臨する。夏の月夜に白い獅子たちが襲来し、敵を狩る。
8月2日(金)から始まった夏の大型イベント「ライオンズフェスティバルズ2024」限定で着用する「ハントブルーユニフォーム」の制作ストーリーです。
このユニフォームをデザインしたのが、ライオンズのホームタウン、所沢市出身の世界的ファッションデザイナー相澤陽介さん。
今回のnoteでは、どのようにしてライオンズフェスティバルズ2024のユニフォームが決まったのか、制作の裏側をお伝えします。
■ライオンズフェスティバルズ2024の始まり
ライオンズフェスティバルズが始まったのは2016シーズン。「チーム、ファン、地域が一体となって盛り上がる夏のイベント」をコンセプトに、毎年シリーズ専用のユニフォームを制作しています。
ライオンズフェスティバルズの制作は、前のシーズン終わり頃、10月~11月頃におおよその方向性を決定します。相澤さんにお声がけをしたのは2023年の夏ごろのことでした。
きっかけは、とある社員がイベント企画を管轄する部署の社員に話しかけたことでした。
「実は、僕の息子が所属する野球チームのコーチが、ファッションデザイナーの相澤陽介さんの知り合いで、そのコーチが言うには、相澤さんは幼い頃からベルーナドームに通っていたらしくて。今はファッションデザイナーの傍ら北海道コンサドーレ札幌で社外取締役、クリエイティブディレクターもやっていて、スポーツとファッションに造詣が深いから、何かライオンズとできないかな?って話してたんだけど…。何かライオンズとできたりしないかな?」
話を聞いた担当社員はすぐに動き、相澤さんと話す機会を設けることに。
ライオンズフェスティバルズは1か月と長期間にわたるイベントであり、かつ期間中はホーム・ビジター問わず限定ユニフォームを着用します。ファンの皆さまの印象にも残りやすいイベントだからこそ、ぜひ相澤さんにデザインをお願いしたい、とメッセージを伝えました。
そんなご縁から、ライオンズ・所沢市と深く結びつきある相澤さんと、ユニフォーム制作が始まりました。
■ハントブルーユニフォームが生まれるまで
ユニフォームの制作は約5ヵ月に渡って行われました。
相澤さんからユニフォームのデザインの方向性を複数提案していただき、その年のトレンド、ライオンズらしさやベルーナドームでできること、さまざまな要素と相澤さんに提案いただいた方向性をどうデザインに落とし込むか、カラーやフォントのバリエーションの組み合わせなど、約30パターンから絞り込んだそう。
「今年は、“夏”、“強さ”はもちろんのこと、ライオンズフェスティバルズの時期はすべてナイター試合であることから、“夜”を想起させるものが良いのではないか、ライオンが全面に強調されているものよりは、ひっそりと獲物を陰で狙う感じのほうが、強さが伝わるのではないかなど、さまざまな意見交換をしました」と担当者は話します。
ユニフォームは監督・コーチ・選手が着用して戦うのはもちろんのこと、応援してくださるファンの皆さまも着用します。
ファッションデザイナーとして、そしてホームタウンの所沢出身者として、相澤さんがハントブルーユニフォームに込めたこだわりはどんなものだったのでしょうか。
■スポーツ×ファッションの探求
胸のLionsロゴ、キャップやヘルメットの「SSL(Saitama Seibu Lionsの頭文字)」のロゴは相澤さんによるオリジナルデザインです。
「夏のシリーズイベントということで、チームのアイデンティティが感じられるロゴやグラフィックにしたい、通常の期間とは異なるスペシャリティを出したいと考えていました。今の若い世代の方はスポーツウェアをファッションとして取り入れるトレンドがあるので、ロゴの見せ方は重要視しないといけないなと思っていました」
ファッションデザイナーとしての観点に加え、もうひとつ大事にしていた観点があるといいます。
「往年のファンの皆さまです。僕が見てきた昔のライオンズの雰囲気みたいなものをこのユニフォームを通して見せ、当時を感じていただきたかったのもあります。当時のLionsロゴのフォントを踏襲し、リデザインできないか、という思いがありました」
さらに埼玉県出身、所沢出身、ライオンズを見て育ち、西武鉄道のアイスホッケークラブにも入っていた相澤さんのローカリズムが、キャップとヘルメットに描かれたSSLに表れています。
「参考にしたのはMLBのキャップです。チームを表すロゴは2文字のアルファベットで構成されることがほとんどなのですが、セントルイス・カージナルスは3文字ロゴなんです。NPBも基本的には1文字か2文字で構成されているロゴがほとんどですよね。そうした珍しさという観点と、僕は埼玉県所沢市出身で、チーム名にも入っている“埼玉”を要素として入れたかった、その2つの観点でSSLが生まれました。Jリーグと異なり、企業名がチーム名に入ることがNPBは多いので、逆にここをアイデンティティにしようと」
ユニフォーム制作と合わせ、『SSL BLACK EDITION』として8つのグッズ制作も手掛けてくださった相澤さん。この中のキャップ(SSL BLACK EDITION NEW ERA 9THIRTY)は、今年6月のパリ・ファッションウィーク🄬(通称「パリコレ」)で発表された「White Mountaineering」の2025年春夏コレクションに登場しました。
「“クラシックスポーツ”をテーマにコレクションすることが決まっていて、デトロイト・タイガース、ニューヨーク・メッツ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シカゴ・ホワイトソックスの4球団とアプルーバル(承認)が取れ、コレクションに出すことは決まっていました」
「ちょうど同じタイミングでライオンズともキャップを作ろうという話が上がりました。アメリカの4球団に並んで所沢の球団が入ってきたらファッション的におもしろくなるのでは?と思ったのと、僕自身のローカリズム(生まれ育った地域を大切にする考え方)が主な理由です」
「アメリカのヒップホップや音楽関係の方々、映画監督などクリエイティブに関わる人たちは自分のローカリズムを持っているんです。出身地を本拠地に置くチームのユニフォームやキャップをファッションに取り入れているのを見て僕も、と思いました。埼玉、西武、ライオンズ、いろんなキーワードがロゴに込められているので、コレクションのショーの中にローカリズムを混ぜたかったんです」
ファッションデザイナーの傍ら、Jリーグの北海道コンサドーレ札幌で社外取締役・クリエイティブディレクターを務める相澤さんですが、スポーツ興行は、ファンやサポーターなど応援してくださる方がいなければ成り立たない、と話します。
「8月4日(日)にファンの皆さまがハントブルーユニフォームを着用して応援する景色をベルーナドームで見ましたが、このファンの皆さまが作る景色があってのスポーツだと思っています。だからこそ、観客のことを一番に考えられるデザイナーでありたいと思っています。今回ライオンズのユニフォームを制作できたのは今後の僕自身の活動にも影響してくるし、エポックメイキング(革新的)でした。今後も何かの形でライオンズと関わりたいですね」
■ハントブルーユニフォームで埋まるスタンドを再び
観客を一番に考えられるデザイナーでありたい、と話す相澤さんと球団がアイデアを出し合い生まれたハントブルーユニフォーム。8月25日(日)の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では、一部を除き来場者された皆さまにハントブルーユニフォームを配布します!
さらに、相澤さんによるブラックカラー統一のアパレル・雑貨アイテム『SSL BLACK EDITION』は、ベルーナドームエリア内の「ライオンズ チームストア フラッグス」および公式ECサイトのライオンズストア オンラインにて販売中です。
ぜひライオンズ愛がこもったハントブルーユニフォームやグッズを身につけて、ベルーナドームにお越しください。