ライオンズOB通信 潮崎哲也編
こんにちは。
株式会社西武ライオンズ広報部です。
前回は、いよいよ今週末に第1弾の開催を控えたLIONS COLLECTIONの企画の背景をお伝えしました。
今週末に加えて、ライオンズ初のタータンユニフォームを着用する7月5日(金)~7日(日)の千葉ロッテマリーンズとの3連戦も、ぜひお楽しみに!
さて、今後のnoteでは、不定期でライオンズOBの近況などもお伝えできたらと考えています!
今回は、今年3月16日(土)に開催された西武ライオンズ初のOB戦「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」で、TEAM SEIBUの先発投手を務めた潮崎哲也さん(現:埼玉西武ライオンズ スカウトディレクター)の話です。
■楽しかったOB戦
OB戦ではTEAM SEIBUの先発投手として、1回裏のマウンドに上がりました。
1番打者の石毛宏典さんにヒットを許すも、続く2番・行澤久隆さんをダブルプレーに打ち取ります。
3番打者で、出場OBの中では最高齢の80歳、土井正博さんにはライト前にきれいに運ばれましたが、ライト・大友進さんの返球によりライトゴロに。
「土井さんの打席では、内角へのボールはコントロールに細心の注意を払いましたよ(笑)。しかし大友、空気読まへんかったよなあ、ほんまに。」と苦笑い。
ちなみに、先発での登板は事前に決まっていたのかと思いきや、
「告げられたのは試合当日です。ちょうどベンチ裏で辻発彦さんがスタメンを考えているところに、たまたま僕がふらっと立ち寄って『シオ、今日先発な』と言われました。後から聞いたら、『どうやら潮崎は元気でかなり動けるらしいぞ』とOB戦に参加するメンバーの間でも話が出ていたようですね。」と潮崎さんは笑顔で振り返ります。
自身のピッチングについては、
「上出来でしょ!この日に向けて、一応練習もしましたし。2018年まではライオンズの二軍監督として現場にいましたが、あれからもう5年も経っていますからね。今年2月の春季キャンプでは、秋元宏作さん(スカウト・育成統括ディレクター)にキャッチボールに付き合ってもらい、調整しました(笑)。本当にOB戦は楽しかったです。」と、納得のいく内容だったようです。
■強心臓で鳴らした現役時代
長くライオンズを応援してくださっているファンの皆さんにとっては、潮崎さんの現役時代の姿が今も目に焼き付いているのでは、と思います。
筆者も少年時代、かわいい顔して強気のピッチングを見せる潮崎哲也のファンで、魔球シンカーの大きな曲がりに衝撃を受けたのを覚えています。当時の相手バッターは、一度浮いてそのあと消えて視界からなくなる、と感想を漏らしていたそうです。
今でもシンカーと言えば潮崎哲也です。ライオンズでも糸川亮太投手は、入団前に潮崎さんからアドバイスをもらい、自身のシンカーにさらに磨きをかけた、というエピソードもありますが、一日でも早くその境地に達してもらうことを切に願うばかりです。
そんな潮崎さん、ルーキーイヤーの1990年はリーグ優勝時、日本シリーズ制覇時ともに胴上げ投手となりました。
「プロ入り当初はまだ若かったので、とにかく注目されるのがうれしかったです。リリーフ投手として大事な場面で起用していただくことが多いなかでも、プレッシャーよりやり甲斐を強く感じていました。当時は、強心臓、とよく言われましたが、とにかくマウンド上では緊張感も楽しむことができていましたね。」
リリーフ投手として鳴らした潮崎さんですが、1997年からは本格的に先発投手に転向しました。
近年のライオンズでも平良海馬投手が自ら先発転向を志願したことは記憶に新しいかと思います。
潮崎さんも先発転向を直訴したのかと思い尋ねてみると、
「いや、全然違うんですよ。リリーフ失格、でした(笑)。当時の東尾修監督から、『今のシオの球じゃ、大事な場面で使えんぞ!』と言われましてね。チームに貢献できるよう先発にチャレンジしてみよう、と。そのおかげで、この年は先発投手として2ケタ勝利を挙げることができましたし、野球選手としてのキャリアも少しは延びたかな、と思います。」
先発とリリーフの違いを聞くと、
「先発投手は、この1試合を任された!というポジションなので、自分のピッチング内容よりもチームの勝敗が気になりましたね。リリーフは、登板する場面によって試合展開が毎試合異なるので、とにかく目の前の打者を抑えることに夢中。なので、勝敗よりも自分のピッチング内容にフォーカスしていました。どちらも違う面白さがあり、とてもいい経験になりました。」
そんな潮崎さんは2004年に現役を引退。
翌2005年からもライオンズ一筋で、編成部や一軍ヘッド兼投手コーチ、二軍監督などを歴任し、現在はライオンズのスカウトディレクターとして働いています。
■スカウトディレクターの仕事
スカウトディレクターは、アマチュアの選手を視察し、翌年のドラフト会議に向けて戦略を練るのが主な業務のひとつです。
ライオンズは地区ごとに担当スカウトが全国に散らばっているのですが、それを束ねるスカウトディレクターは、関東近郊のみならず全国を飛び回ります。
「北海道でも九州でも、担当スカウトから、週末にこんな大会があるんですよ、と連絡が入れば、可能な限り現地に赴きます。見たことのない選手を判断するには、やっぱり自分の目で確かめておきたいですからね。」
しかしながら、担当スカウトが推薦してくる選手全員をドラフト会議で指名することは、枠の問題からも叶いません。チームの選手事情や育成方針など、さまざまな要素を鑑みたうえで、担当スカウトが一年間長い時間をかけて見続けて、自信を持って推す選手が指名に至らないケースもあります。
「そんな時は、担当スカウトと率直に意見交換をしますし、決定したチームの方針をストレートに伝えます。今のスカウト陣とは、誰に対しても自分の意見を言い合える関係を築くことができていますから。変に気を遣ってお互いに言いたいことが言えなかったり・・・、ということは全くないですね。」
スカウトディレクターとして、担当スカウトの気持ちをおもんばかりながらも、ライオンズが強くなっていくための指針がぶれることはありません。
野球界に限らず、「自己を主張」し「相手を尊重」する「アサーティブ・コミュニケーション」は、今とても重要視されています。
「普段はあまりそれを意識することはないんですけどね。」と潮崎さんは謙遜しますが、自然とそれができているのでしょう。
ユーモアを交えて話をしたり、筆者とも気軽に会話しあったりと、誰からも慕われる潮崎さんだからこそ成せるワザかもしれませんね。
さて、そうして迎えたドラフト会議を経て、実際に指名した選手たちの成長や活躍を目の当たりにすると、喜びもひとしおです。
「今年はドラフト1位の武内(夏暉)が開幕からいいスタートを切りましたね。彼は3球団が抽選で競合するほど前評判の高い投手でしたから、かなり重圧があったはずなんです。それでも、動じることなくもともと持っていた実力をそのまま発揮できている、これはすごいことだと思いますよ。伸びしろもある投手ですから、この先もっと良くなるんじゃないかな!と楽しみです。」
ちなみに、武内投手とその担当スカウトである十亀剣さんとのエピソードはこちらです!
■ライオンズファンへのメッセージ
そんな潮崎さんの休日の過ごし方も聞いてみました。
「いや~、それがなかなか。この日を休もうってあらかじめ決められなくてね。急遽、視察を予定していた試合が雨天中止だったりしたら、じゃあ今日は休みにしよう!みたいな感じなんですよ。本当は大好きなゴルフに家族や友達と一緒に出掛けたいんだけど、急な休みイコール雨なのでゴルフもできない(笑)。そんな日はゆっくり寝て英気を養ってますよ。あとは、妻や息子とたまに外食に出掛けたりすると、いいリフレッシュの時間になってますね。」と笑顔を見せました。
もちろん、アマチュアの選手視察だけでなく、若獅子たちの奮闘ぶりも気になります。
「休むくらいなら、ウチの選手を見に来ちゃってますかね!」とつい先日もCAR3219フィールドを訪れ、ファームの選手たちに熱い視線を送っていました。
最後に潮崎さんからライオンズファンの皆さまにメッセージを。
「OB戦ではたくさんの声援をいただきありがとうございました。私が現役時代は優勝するのが当たり前、というプレッシャーの中で日々試合をしていましたが、今のライオンズはひとつ勝つことの難しさを選手たちも感じていると思います。ファンの皆さまの声援は選手たちに大きな力を与えてくれています。私もライオンズが強くなるために、今の業務を全うしようと思っていますので、ぜひライオンズに声援を送り続けてください!」
ここまでお読みいただきありがとうございました。今後もライオンズOBの近況をお届けしたいと思っています。
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