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ファンと共に歩む甲斐野投手の決意

球春到来!

2月1日から春季キャンプがスタート。初日はあいにくの雨でしたが、第1クールから多くのファンの皆さまが南郷スタジアムに足を運んでくださいました。
開門前から列を作り、選手名入りのグッズなどを掲げているファンの皆さまの姿を見ることができて、私もうれしく思いました。

キャンプ地といえば、選手との距離が近く、直接サインをもらえる機会が多いですが、昨年の春季キャンプで特に列が絶えなかった選手といえば、甲斐野央投手。
両手いっぱいに持ちきれないほどのプレゼントを持っていたのが印象的です。
今年はまだ列が短くて、寂しく感じているようですが、練習の合間にサインしている姿をよく見ます。

公式戦期間中もファンサービスを欠かさず、また球団イベントへの出演や企画、SNSの撮影にも快く協力し、球団職員をも虜にさせてしまう、今回はそんな甲斐野央投手のお話です。


甲斐野投手のサインに込められた想い

「昨年のキャンプのサインですか?あれはファンサービスだと思ってやっていないですね。自分を知ってもらいたいっていう気持ちと温かく迎え入れてくださったライオンズファンの皆さんに感謝の気持ちを込めて書いていました」。

ファンの方から、ファンサービスすごいねと言われたそうですが、実はこんな思いだったようです。

南郷って少し距離があると思うんですよ。時間やお金をかけて、選手に会いたくて来ているわけじゃないですか。そんなこと、なかなかできないと思って。本当に好きな方が来てくれているんだと思ったら、書きたくなっちゃいますよ」と、サインをして喜んでいる姿を見ると自身もうれしくなるそうです。

7年目を迎えるプロ野球人生ですが、入団当初からファンを大切に思う気持ちがあったという甲斐野投手。そのルーツをたどると、家族の影響が大きいことがわかりました。

「兄がふたりいるんですけど、同じ性格ですね。おかん(母親)から来ていると思います。保育園の先生なんですけど、僕が小学生の頃とか、スーパーに買い物に行くと、まず知り合いが多いし、教え子とか、みんな覚えているんですよね。本当にすごいと思いますし、僕の性格もそこからきているんだろうと思っています」。

「もちろん、試合で結果を出すことが一番のファンサービスだと思います。でも勝負の世界である以上、うまくいかないこともあります。一方でサインは確実にできることなので、僕はこれからも続けていきたいと思っています」。

悔しさをバネに。甲斐野投手の挑戦と学び

一方、昨年の自身の成績としては「移籍してきて首脳陣からの期待に応えられなかったのが悔しかったですね」と振り返ります。

これまで、けがで離脱することは何度もありましたが、昨年に関しては“何をしているんだろう”という思いが強く、何か変えなければいけないという思いから、新たなトレーニングを始めたそうです。

「根本的な話でいうと、野球が本当に大好きなので、野球ができていることに感謝しています。なので、けがをしないようにこれまでとは別のトレーニングを始めました。チューブなどを使った、体幹など体のなかの細かい部位を鍛えるトレーニングはしてきましたが、いわゆるウエイトトレーニングといわれる、重い器具を使ったトレーニングはこれまで本当にしてこなかったんです。加えて、重いものを扱うとなると、栄養や休養の知識も必要になってくるので、昨年は学びの1年になりましたね」。

これまでもさまざまなトレーニングをしてきた甲斐野投手ですが、なぜここでウエイトトレーニングを始めたのでしょうか。

「色々なトレーニングにチャレンジして、継続もしてきましたが、出力(投球動作で発現する力の大きさ)が大きい分、ブレーキがないとダメなんですよね。車に例えると、すごく良いアクセルを持っていてスピードが出ても、ブレーキが強くないと止まれない、そんなイメージです」。

ウエイトトレーニングを始めたというと、体を大きくしたい、とか球速をアップしたいというイメージだと思いますが、まったく逆だそうでスピードが出るのを制御するトレーニング。

実は甲斐野投手、以前は体の筋肉量がプロ野球選手の平均値に達しておらず、アマチュアの学生ほどの筋肉量しかありませんでした。その体で160kmもの球速のボールを投げたら、当然体は悲鳴をあげます。
身体の骨組みを強くするために、まずはプロ野球選手の平均値に達することを目標に取り組み、現在はやっと届いた、ということです。

「これまで、メカニック的な勉強はしてきましたが、そこをどれだけがんばっても、自分の体がついてこなかったら意味がないですよね。もちろん、昨年から始めたので、今年は絶対けがをしないのかっていったらそんなことはないと思っています。でもやってみないとわからないので、これからも続けていきます」。

焦らず自分のペースで。甲斐野投手の新たな春

移籍初年度だった昨年の春季キャンプでは、まずはアピールが優先だと思い、初日からブルペンに入れるくらいにオフ期間に仕上げてきたという甲斐野投手。
今年は後半の対外試合に向けて、できるだけ無理しないように、自分のペースを守って体作りをしていこうと考えているといいます。

「実はオフの自主トレーニング期間中、1週間ノースローだった時期があって、普通だったら焦ると思うんです。キャンプインしてみんなが一斉に投げ始めるのに。でもそれも、良かったと思っています。ノースローだった1週間に状態があがってきて、僕の悪い癖で突っ走ってしまったら、またつまずいてしまったかもしれない、と思って。ゆっくりいきなさいって神様が言ってくれているんじゃないかと思っています」と明かしてくれました。

今季は数字の目標は持っていないと語る甲斐野投手。それには甲斐野投手なりの理由が。

真剣勝負のなかで野球を楽しむことを考えています。球場にきてくれるファンの皆さんは、勝敗だけでなく、相手チームとの対決とか、プロ野球選手としてのパフォーマンスを観に来てくれている方もいると思うので、そういったところでファンの皆さんに喜んでほしいし、元気になって帰ってもらいたいと思っているので、そういうパフォーマンスをしたいと思っています」。

「数字がないのは、変なプレッシャーがなくて、良い意味で気持ちも楽になりますね。しっかりパフォーマンスを出すことに専念して、結果はついてくるということで!」。

甲斐野投手らしいテンションでまとめてくれました(笑)。
2024年にライオンズにやってきた甲斐野投手ですが、もうライオンズには欠かせない存在になっています。きっとファンの皆さまも同じではないでしょうか。

いろいろ変化があった2024年ですね、と最後に筆者が問いかけると、
「それもライオンズのおかげだと思います」と変化も前向きに楽しんでいます。

南郷春季キャンプは2月24日(月)まで。
ファンの皆さまもぜひ、現地や中継などで選手を応援してあげてください。